広田 美穂

川口のキツネはどこに?
---お稲荷さん 探訪記---

■2004年1月14日

 昨年、最初にKAWAGUCHI ART FACTORYで頂いた 「川口歴史WALK」 という地図(川口ロータリークラブ発行: 田代しんたろう さん画)を見ていたら、わざわざ、「外から見えるお稲荷さん」と書かれてありました。 という事は、外から見えないお稲荷さんも多いのではないか、と想像しました。ART FACTORY に最初に来た時、川口元郷駅近くの庚申塚を目印に来ました。目印にしたにもかかわらず 迷ったのですが、毎回来る度、前を通る度に気になっています。
 子どもの頃に、鉄工所の家の友達がいて、そこの一角にあるお稲荷さんは、私にとって、少し、 コワイ存在でした。今、その工場は無くなってしまいましたが、お稲荷さんは、そのまま残って います。何で、コワカッタのか、気になります。
 川口でも、お稲荷さんは、街の変遷を残しつつ建っているのではないかと思い、お稲荷さん巡り をしたいと考えました。

お稲荷さんって、そもそも何なんだろう?

 川口に多い鋳物屋さんは、火を扱うので火伏せの神としてお稲荷さんをまつる風習があった のだそうです。『昔から火を使う鋳物職人さん達は、太鼓を叩いて、稲荷神社の神様に火伏を 祈りました。特に初午(はつうま)の日には火事が多いと言われ、一年の安全を祈りみんなで 夜通し太鼓を叩き続け、川口の町には太鼓の響きがこだました』なんてことを読むと、ワクワク します。
 まずは、ひとつずつ、お稲荷さんをまわって、その建て主さんと、いつ頃建てたのか、その頃の 写真があれば、見せてもらいながら、お話しを聞くことが出来ればと思います。
今、お稲荷さんに関係する本を図書館から借りてきては、詠み始めています。

 さあて、その先がどうなっていくのか・・・川口を訪ねながら、考えていきます。

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■2004年1月25日

 1月31日に浜田さんの蔵でお話される土田さんから、川上香織さんが面白いお話を 伺ったので、それを。
 土田さん曰く、昔(戦前?かな)は今の エルザタワー55 のど真ん中にお稲荷さんがあったそうです!!その後、『日本ピストンリング』(軍需工場) が出来るという事で、『氷川神社』(川口市青木町・神主さんが美術好きで横尾忠則氏の 最近の油絵などをコレクションし神社内に飾っている、面白い神社です。)にお稲荷さんが 移動され、その後その近くに『鋳物工場』が出来るというのでそっちに移動され、そのうち鋳物 工場の建物の関係上、邪魔になるという事で他へ移動され、現在、川口の何処かにある らしいのです。土田さんはそのお稲荷さんのありかを今も知ってるそうですが、今度 またゆっくりね、といって場所までは聞き出せませんでしたがなんとも面白い話しでした。

 川上さん、ありがとうございました。是非とも、土田さんに、その先をお聞きしたいです。

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■2004年1月29日

 昨日、田中鋳工さんに行き、田中博さん(鋳物組合元理事長さんです。 鋳物資料室 に田中博氏寄贈とある木型がたくさん展示されていました。)から、 戦前の初午の様子など、お伺いして来ました。2階建ての舞台をつくり、絵行灯を飾って、 一晩中、職人さん達が太鼓を叩いて夜明かしをしていたとのこと。
 今、まだ残っている工場跡も見せて頂きました。思わず、池田さんの、 『水箱プロジェクト』を思い出しましたが、工場の解体は、まだ少し先(4月)の ようでした。(31階建のマンションになるそうです)

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■2004年1月30日

 田中鋳工さんから、初午の日のことを伺った時、初午の行事をまだどこか でやられていないかをお聞きしましたら、「金山町の工場さんが今年はやるそうだ」 と伺ったので問い合わせてみました。最初に出られた女性の 方は色々教えて下さいました。ECO&EGO の資料とプランを送り、来週、もう一度連絡 する約束をしました。初午は今年は、2月9日です。他にも、 どこか為さる所があったら、是非見させて頂きたいです。もちろん、昔のように盛大にやって いる所はないと思うのですが。

 田中鋳工さんの後に、KAFに寄ろうと思っていたのですが、田中さんが、 川口鋳物工業共同組合 のKさんという方に連絡を取って下さり、直行しました。突然の事で、お昼時に失礼 してしまいました。川口太鼓の事を伺い、「もしも、お稲荷さんの数や、場所が分ったら、 教えて下さい。」とお聞きしたら、そんな事は把握出来ない事のようでした。考えてみれば、 個人的な事ですから、統計など、ない訳ですね、きっと。

 その後、鋳物資料室をゆっくり見てから、金山町に向い、地図にある4つのお稲荷さ んのうちの2つの、現管理者の方とお話が出来ました。
おひとりは、93歳の元鍛冶屋さんのおじいさまで、最後は家にまで上がらせて頂き、 お話を聞いてきました。 子供時代に太鼓を叩いていたそうで、その時の太鼓を譲った、四男の方が、今、 子供達に川口太鼓を教えているそうです。連絡先を訓えて下さいましたので、コン クール前に、練習風景を見させてもらえたらと思っています。ほんとは、以前、金子さんから 教えて頂いた、川口太鼓のグループに問い合わせてみようと思っていたのですが、せっかく 出会ったおじいさまの息子さんが教えていらっしゃるのだから、そちら に問い合わせてみようと思います。

 最後に、サッポロビール旧埼玉工場入口にあるお稲荷さんを見ました。いずれ縮小して、 敷地内に移動するような事を入口守衛の方が、言っていました。そこまで行ったら、 すでに真っ暗。 太郎焼き を買って、帰りました。

 という訳で、まだ私の探検?は、始まったばかりなのですが、頑張っておまつりをして るおじいさま以外は何だか、ちょっと困っている感じがとてもして、それは、想像がつく ことなのですが、ん・・・ん、私もどうアプローチしたらいいかと、すでに、悩みはじめ ました。批判したい訳でも、お詣りを奨励したい訳でもなく、やっぱり、Betweenだなー・・・と。

 でも、もっと、歩いてみます。もうひと方は、初午にちなんで、毎年、元社長さんと 元社員さんが元工場にあるマンションに集って、飲み会をしているそうです。そこには、 懐かしさがあるようで、それも、いいなーと聞きながら感じました。
きっと、様々な、今の在り方が、見えてくるのでは・・・と。

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■2004年2月3日

 N鋳造さんは、そういえば、田中さんが仰っていたので、リストで調べて電話を したら、折り返しお返事を頂いて、是非どうぞ、といって下さいました。2月ではなく、 3月に為さるそうで、近くなったらもう一度連絡をする事になりました。 西川口に近い所だそうです。
 金山町の工場さんは後日、又お電話をする事にしました。金山町だという所が、 オリ(発電所跡のあるN邸内の元ダチョー?の)と近いので、お聞きしたいと思います。 どうなるでしょうね?こういういろんな対応があるというのも、面白いです。不景気の中での 状況や、町中での立場、いろんなことが見えますね。でも、何だか、お聞きしたいのですよ。

 市役所の、社会教育課で、金山町に限っての、初午の聞き取り調査をした報告書があ るとお聞きしたので、図書館へ調べに行こうと思っていたら、Oさんがその資料を お持ちとのこと、コピーして頂けるそうでありがたいです。

 田代しんたろうさんから、 鋳金工芸会 さんにご挨拶して、 一度「吹き」を見学させて もらうといいかもしれません、というご助言に、うれしく乗せて頂き、何か作れたらいいなー、 と思っています。きつね(鋳物で)ですが。可能ならばの話です。で、その日は、初午の日なので、 浜田さんご近所のお稲荷さんがあるお宅の方と、お話させて頂く事になりました。ほとんど、 私の頭の中は、川口ですね・・・!

 もうひとつ、土田さんからお聞きした、横尾忠則氏のコレクターでもある、青木氷川神社さん に、いつかお伺いしたいと考えています。

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■2004年2月6日

 一度展覧会をやっている時に訪ねた、 川口市母子福祉センター に、もしやお稲荷さんはないかと聞いてみました。市の施設になった時に、取り壊したそうですが、 センターの方から、初午やら川口太鼓について、色々話が聞けました。
昭和32年頃まで初午太鼓は、誰でも叩ける様に有って、とろーん、とろーん、 と穏やかに、のんびりと叩いていたそうです。また、その方は、頼まれて、毎年、 ぼんぼりに絵を描いていたそうで、(花や動物、芸者さんの姿など)ぼんぼりは、工場の 入口からお社まで吊るしたのですって。

 川口鋳物工業協同組合のKさんからは、神社のことなら、金山神社総代の方に 聞くといいからと教えて頂き、電話をしてしまいました。稲荷信仰の歴史や、川口太鼓は、 日清戦争後、近代化によって需要が増え、近隣の県から人が集り、上州の有名な太鼓や、 各地域の神楽でたたく太鼓を習ってきた人たちが、初午で叩き出したのが始まりだ、 と仰っていました。

 皆さん、突然の問い合わせにもかかわらず、いろいろお話しして下さり、とても嬉 しいです。変な問い合わせが最近あると言われたら、きっと、私です。ごめんなさい!

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川口の皆さんへご協力のお願い

Between ECO&EGO 展に向けて、川口のお稲荷さんめぐりをします。
鋳物工場には、火伏の神として、お稲荷さんをまつる風習があると聞きます。 確かに、川口の町を歩くと、お稲荷さんが多いようです。 お稲荷さんから、町と人をめぐるECO&EGOを考えていきたいと思います。
そこで、お願いです。 ご自宅・職場(鋳物工場など)に、お稲荷さんがある方、お知らせ下さい。 私が訪ねます。見せて下さい。そして、お話聞かせて下さい。

・誰が建てたのか?
・いつ建てたのか?
・どうして建てたのか?
・いま、お稲荷さんに、何かしていることはありますか?
・昔、お稲荷さんに、どんなことをしていたか、ご存じでしたら、教えて下さい。
・初午の時には、何かなさいますか?
・昔の初午の時の様子をご存じでしたら、教えて下さい。
・もしもあったら、建てた当時の写真を見せて下さい。

どんな作品になっていくのかは、未定です。 ご協力下さる方、下記にご連絡下さい。
どうぞ、よろしくお願い致します。

  広田美穂  HP


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