山岡佐紀子

プラ選別作業体験記 at 川口朝日環境センター


 私は自分の企画している、朝日環境センターでのイベント『日本一の囲炉裏端』が 実際どんなふうに可能か考える為、1月某日の午後4時ごろ出かけて行った。

 そこで、朝日環境センター・リサイクルプラザ職員のOさんと立ち話でもしようかと気軽に考えていたが、 それは意外な展開となってしまった。 まず、Oさんの上司の、Tさんと会議室で、お会いする事になった。真っ白で、 染み一つ無い会議室は、私には正直、居心地が悪く、なのにお二人はニコニコ、 ハツラツしているから、きっと心暖かい親切な方達なのだろうと思うと、上手く言え ないが、私の脳は少々パニックに陥った。
 その私に、まるでバランスをとる機会を与えて下さるかのように、Tさんは環境 センターでの労働を勧めた。この時期、お正月ゴミの処理が滞っているのだ。普通、 そうした作業をすることのないOさんはその日の夕方、「プラスチックゴミ」の選別 を手伝うことになっており、お供をしたらどうかと言うのだ。「でも、あの臭いに ひっくり返っちゃうかもね」とTさんはおっしゃった。

 作業着一式をお借りして私は2時間働いた。ベルトコンベヤーで運ばれて来る、 プラスチックゴミの川状になった流れを、8人程の人で両サイドから引っ掻き回し、 リサイクル出来ないモノを見つける。アンパンやジャムパンの袋やペットボトルは、 行かせてやってもいいが、壊れたワゴンやバケツやホース、おもちゃ、弁当箱や、 鏡餅の上に乗せたプラスチックのミカンは行かせてはいけない。
 そうして2時間、汚れてはいるが、見慣れたモノ達の集団が、私の眼の前をゴーッ と行ってしまったり、私に釣られて私の籠に収まったりした。淡々とした作業だ。 感じたりしている暇はない。冬のせいか、においは気にならなかった。最後にOさん は、私の作った2つの満杯の籠を見て「優秀ですね。アーティストとは思えない」と、 多分、褒めてくれたのだと思う、多分。


 その数日後、私は、あるとても賑やかな商店街を歩いていた。そして、ふと居たたま れない気持ちになり立ち止まった。商店街の人には大変申し訳がないが、各店鋪、また 町会の出している看板、サイン、インフォメーション、またお知らせの放送の洪水の中 で、私は、........連想してしまった。よく似ているというより、それ以上だった。 そういった物は、皆大真面目に商売繁盛の為にアピールしている、とても勤勉な人達の、 誇りでもあり、私たちの経済を支えている方法であるという、ある意味正義であるのに、 とても混乱していて、美しさからは程遠く、息苦しくて、私を動けなくさせた。 ほとんどがプラスティックであるということだけでないだろう。
お知らせの放送は幾つも重なって、ひとつのごう音として私の耳に入って来た。私は、 批判していない。批判できない。私はそこに属しているのだ。

 一方、私の環境センターで行うプランはあまりに、机の上だけのものであったことに 気付く。のうてんき。面白話?馬鹿いってんじゃない。そういうお喋りな状況ではなかっ た。ごめんなさい。ふざけていて誰も相手にはしないだろう。 プランの練り直しじゃー。
 こうして私はアートとライフのはざまに実際に、ほんの短い時間だけだが立ってみて、
「はざま」で、私たちは答はおろか、単に希望を見つけるといった方向はなく、なぜ ここにアートを持ってくるのかということを改めて考えざるをえなかった。

                                    山岡佐紀子 Sakiko Yamaoka


エコ&エゴ展 最新ニュース

エコ&エゴ展 トップ