《 KAWAGUCHI ART PROJECT ...... PROLOGUE 》

『鋳物の町』と呼ばれる、この地。

でも、現実には『かつての・・』という

但し書きが必要なほど変貌を遂げています。

象徴だったキューポラの代わりに高層住宅が林立し、

粉塵と焦げ臭い匂いは消え、もう一人前の都市の顔をしています。

生産の場から、都市生活の場へ。

その地の利を持ってすれば当然の結果かも知れません。

しかし・・

立ち並ぶマンションの群れは、整然としていても

どこか冷淡な感慨を覚えてしまう。

むしろ、より多くの人々がここで暮らし始めている筈なのに。

時計の針を戻すことは出来ないように、

かつての川口に戻ることは、もはや望むべくもありません。

役目を終えた工場は静かに消えて行くべきなのでしょうか。

いや、

たとえ、人々の記憶の中から工場が消えても、

この町の記憶を消し去らないで欲しい。

朽ち果てようとする工場を、記憶を超えてとどめたい。

ARTという新たな力で。

都市生活の場に、創造の光を。

今は小さな、しかしいつかは、眩い輝きを放つことを願って。


January.2002

KAWAGUCHI ART FACTORY

代表  金子良治


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