『 Imaginary lines / 見えない線 』
崔誠圭×石川雷太 展

「見えない線」がいたるところに引かれている。国と国の間に、民族の間に、 自己と他者の間に、人間と物質の間に、内的制度として私たちの心に深く刻 まれたそれら。在日三世である崔誠圭と日本人である石川雷太が、多様な 視点から拾い集めたノイズにより、「見えない線」を顕在化させる。 私たちを分断するすべてのボーダーを無化するために。
日時:2011年9月10日(土)〜19日(月・祝)
    11:00〜19:00 会期中無休
場所:FRONT GALLERY,SPACE-1,2,3,4,ZERO
参加:崔誠圭  石川雷太
展案内: http://erehwon.jpn.org/imaginary_lines/


●さいたま美術展<創発>プロジェクト2011 参加企画

【スペシャルイベント】
● [ LIVE ] 9/11(日) 17:00〜 ☆料金カンパ制
 任キョンア (チェロ)
 渡辺愛 (kaoss pad、他)
 magna-tech (ノイズ+ダンス)
 リョウ (箏・三味線・うた)
 武 Take (uni)
 Erehwon (ノイズ)

● [ LIVE ] 9/18(日) 18:00〜 ☆料金カンパ制
 本原章一 (ダンス)
 TOMO (サウンド)
 川端浩史 (舞踏)
 松本じろ (ギター、ヴォイス)
 崔誠圭 (パフォーマンス)
 Erehwon (ノイズ、パフォーマンス)
 ノブナガケン (パーカッション、ヴォイス他)
 快飛行家スミス (演劇)
 河崎純 (コントラバス)

照明:岡野雅代 音響:昼間光城 ビデオ撮影:石川雷太 協力:義村京子


崔 誠圭 Choi Song Gyu
Profile

 循環 2  SPACE-1

2011年制作:
芝川で採集された植物、鉄筋、ホース、ポンプ、砂利、川砂、ミシシッピーアカミミガメ、水、土、
採集された生物
KAFの近くに流れる旧芝川は上流と下流が水門で閉じられた閉鎖河川である。水のほとんど流れない川 の水は澱み、様々な問題が山積している。水の流れない静かな水面には堆積したヘドロが剥がれたスカム が浮き、メタンガスの気泡がはじける。
水は動きが滞ることにより、生物に害を及ぼし、水が循環すれば自浄作用を発揮する。全ての事柄は閉鎖 されるのではなく、循環し、繋がり、動き続けなければならない。




 ネットワークオブジェクト NYORO Ver:2.0  SPACE-2

2011年制作:
朝鮮学校の生徒のデータで構築されたネットワークオブジェです。 このオブジェは繋がる意思のある方々の行為でどんどん成長していきます。 みんなでオブジェを成長させよう。画面下にある生年月日入力を行い、Sendボタンを押してください。 オブジェが成長します。生年月日と入力したタイミングにより、色、方向、長さ等が変化します。 画面のスライドバーを動かすことにより、全体像を見たり、部分を拡大出来ます。 インターネット上で成長させたものを今回の展示に合わせました。



 SEEDing Project ガシャポンSEED  SPACE-2

2011年制作:

1.100円を入れよう!
2.ハンドルを回そう。
3.カプセルを取り出そう。
4.持ち帰ろう。
5.泥だんごを大地に投げよう。
6.どこかで成長し、花が咲き、実がなるのを見守ろう。
みんなで種を播こうよ。
※100円は東日本大震災で被災した東北、福島、茨城の朝鮮学校に責任を持って送ります。
Seeding-地面に種を撒くという行為が東日本大震災を起こした人智を超えた自然の力を沈め、 亡くなられた方々や被害を受けた方々を思う行為となること。3.11以降二重に苦難を背負う 東北、福島、茨木の朝鮮学校生徒たちを思い、動いていく行為となることを願ってます。
学生美術展40周年プロジェクト実行委員会




 YAKINIKU-ARTIST ACTION in EDAGAWA  SPACE-3

2010年制作:
YAKINIKU-ARTIST ACTION in 枝川 2010 ドキュメント
1964年に建設され46年の歴史に幕を下ろした東京都江東区の枝川朝鮮学校校舎にて、2010年12月
26日〜29日まで開催されたアートイベントの記録展示。美術家、音楽家、パフォーマー、アートプロデュ
ーサー、評論家、映像作家ら計70名の賛同者が参加。YAKINIKU(焼肉)は在日の大衆的な食文化を
象徴する単語で、ホルモンをはじめとする焼肉の食文化は、まさに在日コリアンの歴史を物語る。


石川 雷太 Ishikawa Raita
Profile

 パトリオシズム  SPACE-4

2011年制作:
鉄、カッティングシート、アメリカと北朝鮮の兵器のデータ、黒板、チョーク、他
ナショナリズムに対して、パトリオシズムという言葉があります。 国家を基調とするナショナリズムの愛国心に対して、郷土や人を基調とした愛国心 としてのパトリオシズムは郷土愛と訳される。兵器は本来は人や人々の生活を守る ために作られたものだが、現在では人ではなく、国家やシステムそれ自体を守る ために機能してはいないか? そうした現実に疑問を投げかけるための作品です。
是非、中央の平均台を歩き、奥の黒板に書かれた作家のメッセージをご覧下さい。




 核と原発の根本原理  SPACE-5

2011年制作:
ドラム缶、鉄パイプ、土、骨、他
3.11以後に制作された社会派作品。
原子力発電でウランを燃やした使用済み核燃料からプルトニウムを抽出することが出来る。 プルトニウムは原子爆弾の材料でもある。現在日本のプルトニウムの保有量は45トン、 これは既に原子爆弾数千発分で、日本のロケット技術を駆使すればいつでも大陸間弾道 ミサイルを作ることが出来る。この事実が日本の外交上の潜在的核抑止力として機能している。 原子力発電は兵器である。「原子力の平和利用」とは電力だけの問題ではない。日本の 原子力政策が国際的な軍事パワーバランスを安定させ<世界平和>に貢献しているのである。 (と言われている)
日本の原発の暗部にメスを入れようとする作品。
私たちは原発に対して本当は何をなすべきなのだろうか?




 アトミックラインズ  SPACE-5

2011年制作:
石川雷太監修「アトミックサイト」の一部を復元
「アトミックサイト」の分裂・増殖・拡散のはじまりです。 「みなさまがた、いまにみておれでございますよ」 3.11以後のレベル8の危険な現実を体感する、ガイガーカウンターによる放射線測定の体験コーナー。




 DEADLY IDEOLOGY  SPACE-ZERO Sab area

1998年制作:
ベニヤ板、塗料、チョーク、日本赤軍のテキスト
60年代の学生運動も戦争に反対する市民運動も、自由を求める人々の純粋な気持ちから始まりました。 結果的に激しい衝突となった連合赤軍の浅間山荘事件も、今ではテロリストが起こした犯罪事件として 認識されています。しかし、本来は自由を求める真摯な若者達の気持ちから始まったものでした。 メディアが提供する結果だけを見ても現実は見えてこないのです。本当に私たちが見るべき世界はどこに あるのでしょうか?
日本→赤軍→よど号事件→北朝鮮。
これは幼い私の頭の中に浮かんだひとつの線。自由を求めての闘いは今も世界のどこかで続いていると思います。




 Fragment Project  SPACE-ZERO Main area

1997〜2011年制作:
コンパネ、塗料、チョーク、不特定多数の人々による書き込み
フラグメントは断片を意味します。世界を正確に捉えようとするならより多くの断片を拾い集める 必要があります。これは普段は見えない断片に光をあてるための作品です。
あなたの言葉を聞かせて下さい。「フラグメント・プロジェクト」は赤い黒板〈赤板〉上の質問に 答を書き込むことで完成される視覚的対話重層型のインスタレーション作品です。対話から世界が 見えてきます。対話から未来が見えてきます。


【 スペシャルイベント 出演者 】

任キョンア (チェロ)
1981年生まれ。宮城県仙台市出身。東京音楽大学器楽科を経て、同大学院科目履修終了 (2006 年 )。在学中、学内オーディション合格 者による室内楽演奏会に出演。NPO トリトンアートネットワーク主催によるアウトリーチ活動に参加。在日コリアンの美術家達と協同 し、アルン展 (2004-5)、地力、アートイマジネーション in 神戸 (2006)、枝川 YAKINIKU アーティストアクション (2010) などに参加。現在、 ソロ・室内楽・オーケストラなどで活動を行っている。また、音楽教室講師として後進の指導も行なっている。これまでにチェロを山本純、勝田聰一、苅田雅治、ドミトリ・フェイギンの各氏に師事。

渡辺愛 (kaoss pad、他)
作曲家で、アクースマティック音楽はじめ電子音響分野で活躍。

maguna-tech マグナテック (ノイズ、ダンス)
ダンサー・ノイズパフォーマーの武智圭佑とダンサーの博美が共同主宰するノイズ・ダンスユニット 。 武智の自作ノイズを使用することにこだわり、共同振付によって作品を創作。 また、武智はソロで「tsuchigumo」として舞踏家・ダンサーへの楽曲提供およびダンサーとしての出演などの活動を、博美は小林嵯峨、 上原木呂等の舞踏作品への出演など、個々での活動も展開中。

りょう Ryo (17 弦箏、三味線、うた、13 弦箏)
オーストラリアの大学在学中、箏に出会い習い始める。 コンピューターミュージックを学ぶため日本に帰国、同時に 17 弦箏と 13 弦箏を沢井一恵に師事。 2003 年ころ箏の自作曲、即興演奏によるライブ活動開始。 様々なミュージシャン、舞踏家、映像作家、ダンサーとコラボレーションを続ける。 廃墟と雲がとてもすき。

武 Take (uni)
中世ヨーロッパ楽器サルテリーを旅演奏のために使い始める。モロッコ、ルーマニア、インドネシアで演奏。ソロ楽曲演奏、即興 session ライブ、自作楽器 Uni によるソロ、セッションライブを展開。独学と旅の中から生まれる演奏術を探求中。

本原章一 (ダンス)
1989年、ノイバウテンのPV「半分人間」に影響を受け、京都の舞踏カンパニー・白虎社に入団、 舞踏のメソッドを学ぶ。香港・メキシコ・ブラジルでの海外公演からストリップ小屋のショー ダンス・大道芸の金粉ショーに至る多岐に渡った舞台を経験。1995年、白虎社解散後に上京し、 コンテンポラリーダンスを始める。1997年、SPAC(財団法人静岡県舞台芸術センター)と 3年間の契約。フランス・ヌーベルダンスの振付家、ジャン=クロード・ガロッタの代表作品に 出演。2000年以降はニブロール、Nomade〜sなど東京のコンテンポラリーダンス系の舞台に数多く 出演。2007年より、耽美系劇団MONT★SUCHTの出演と振付を担当し、ゴシックイベントに関わり始める。

TOMO (サウンド)
東京都出身。17歳で単身渡米。8年間の在米生活を経て1998年日本に帰国。東京では2000年頃から ソロやセッションを中心に活動を始める。世界の様々なルーツミュージックや古楽などにある 「音律」に影響を受け、ハーディーガーディーをメインに、民族楽器や古楽器を含めた様々な楽器を 演奏する。「音律」と「意識の流れ」の関係に注目し、「縦横断的/垂直的」発想によって、過去の 遺物たる音楽に新たな息吹を与え、音楽の根源へと歩み寄ろうとしている。

川端浩史 (舞踏)
幼少時、軽い神経障害(手腕等の強張り・痙攣)を抱える。20代の終わり頃にパフォーマンスアート の洗礼を受け、舞台活動に目覚め、各種ダンス・ワークショップ等を受講。また、前衛演劇に感銘を 受け、2〜3の劇団に参加する。その後独自の表現を目指しつつ、舞踏に行き着く。以後、強張った 痙攣する身体を引き摺りながらソロ活動を始め、自主ライブ・マイナーイベントで踊っている。現在、 独自の舞踏世界の構築を目指している。

松本じろ (ギター、ヴォイス)
1976年奈良生まれ。4歳からピアノ、7歳からヌンチャク、9歳からギターを始める。1995年、パフォーマー 丹野賢一の作品に音楽として参加を期に舞台に関わりだし、今まで多くの舞台作品の音楽や何やかんやを 手掛ける。また自身の演奏活動においては、国内外問わず、多くの劇場、ライブハウス、老人ハウス、 少年院等で演奏。現在はアルコール唱歌集団「Underground Reservation」(CD発売中)の他に、スカンク とのギターギターバンド「BANESENPAI」で活動中。

崔誠圭 (パフォーマンス)
1967年生まれ。Korean。在日3世。朝鮮大学校美術科卒。東京朝鮮中高級学校美術教員。授業、ワークショップ による集団作業やネットワークによる人の繋がりから、時間、空間、経験を共有する事で創造されていく事物。 それを提示し、問題定義していく事を自分の表現手段として考える。生まれ育った埼玉・川口の旧芝川を中心 とした環境問題に対して2006年から展示、ワークショップ、エコツアーを企画する「国際環境アートムーヴ川口」 の代表として活動。都市環境アート・ネット P.E.A.N2009「水とアスベスト」を参加アーティスト達と共同企画 展示。2010年12月「YAKINIKUアーティストアクションin 枝川」を様々なアーティスト、賛同者達と企画し、 朝鮮学校が抱える問題を考え、活動していく動きへと繋がっている。

Erehwon (ノイズ、パフォーマンス)
石川雷太によるノイズ・パフォーマンス・ユニット。1997年より活動。鉄板や工業用スプリング、金属廃材 の打撃音・摩擦音のライブ・ミックスによる演奏を行う。音を使った表現により活動領域は美術に止まらず 、音楽、ダンス、舞踏など、様々なアーティストとのコラボレーションを行っている。

ノブナガケン NOBUNAGA Ken (パーカッション、ヴォイス、他)
本名「信長憲一」1969年福岡県生まれ、東京都在住。ドラマーや弾き語りなどを経て現在はインプロヴィゼーション を中心に活動。ソロ、音楽家、ダンサー/舞踏家、美術家、映像作家、華道家などとのセッション/コラボレーション を続けている。いくつかのユニット、グループにも参加。スペイン、ドイツ、韓国、香港、中国などでも演奏。 打楽器/弦楽器/笛/声などを用いる。宇宙的融和、霊的なるざわめき、人間以前の世界…

快飛行家スミス (演劇)
奈佐健臣/俳優。大沢事務所所属。状況劇場出身。舞台・映像出演の他、千本を越えるCM、格闘技からドキュメンタリ に及ぶ番組、映画予告等、多くのナレーションも手掛ける。
北川原梓/美術・建築を学んだ後、作家・演出家に転進。現在までに11作の戯曲を発表。独特な語感で紡がれる 言葉の繊細な色気に定評がある。『観客が経験・体感する舞台』をモットーに、劇場を飛び出し場所そのものに 拘った独創的な一人芝居を数多く上演。言葉声躰物質空間時間、その全てを繋ぐ美的世界観を櫂に、演劇界に 留まらずジャンルを越えた表現の海を漂流している。
2007年に「月の船」「ラジウム殺人事件」二篇をKAWAGUCHI ART FACTORY SPACE-4にて上演。その際劇中映像を 石川雷太氏に依頼。


河崎純 (コントラバス)
1975年生まれ。作曲、即興、ワークショップなど、様々な方法を用いて舞台音楽の音楽監督など、ダンス、 演劇、音楽劇、パフォーマンスの作曲、構成は、これまでに50作品ほど行い、音、身体、ことばの諸関係 を模索。昨年は自らのシリーズ「砂の舞台」の新作をモスクワで発表、国際交流基金日本トルコ現代音楽 公演「sound migretion」に参加しトルコ、エジプト、ハンガリー、日本で公演。演奏家としても、コントラバス ソロ「震える石」の他、様々な形態のアンサンブルで演奏。





KAF INDEX